ボードゲームソムリエNaokiです。
このページにいらっしゃったということは、ボードゲーム制作について何か知りたいことがあってたどりついたのかと思います。
僕はボードゲームソムリエとして、ボードゲームの情報を紹介したり、プロデュースを行ったりしますが、それとは別にボードゲームデザイナーという肩書きでも活動をしていて、法人向けにオリジナルのボードゲームの制作や開発をメインに行っています。
開発したゲームの例をあげると、
これまで世界で2番目に売れたビジネス書と言われる世界的ベストセラー「7つの習慣」のボードゲームや、
大正製薬様から人気作品「キングダム」をテーマにしたボードゲームなど、様々なオリジナルボードゲーム制作の仕事をやってきました。
今回はその経験をふまえて、オリジナルボードゲーム制作について、解説していきますね。
オリジナルのボードゲーム制作の3つのパターン
私達がよく知るボードゲームは、「人生ゲーム」や「オセロ」など、おもちゃ屋さんなどで手に入るものをイメージする人が多いかと思いますが、それ以外にもいろんな種類のボードゲームがあります。
全世界には、毎年1000個以上もの新しいゲームが発表されていますし、実は国内だけでも同人文化という日本独自の文化によって、個人の創作物を入れれば、日本でも毎年1000個以上もの新作が発表されています。
そんな最近話題になっているボードゲームですが、これらのような娯楽の1つであるボードゲームが大半の中、それ以外の用途で作られているオリジナルボードゲームがいくつかありますので、ご紹介していきますね。
パターン①:研修型オリジナルボードゲーム
ボードゲームを研修ツールの一環として使用するパターンです。
ボードゲームは短時間で企業が望むシチュエーションや選択する環境を生み出し、受講者はそのゲームの中で、自分で様々な選択を行うことができます。
ボードゲームに導入されている学びは、マーケティング力、経営力、コミュニケーション力、財務力、営業力など様々な分野があるだけでなく、OJTであれば、数年かかってしまうこともゲームであれば、数時間で体感することができますし、仮に失敗したとしても、やり直しがきくため、繰り返し遊びながらも実感できるところも魅力的と言えるでしょう。
また、一方的に座学で研修内容を話すだけではただ聞いていても、飽きてしまったり、眠くなってしまう人もいるかもしれませんが、ゲームという空間の中であれば、途中で眠るということはほぼありませんので、それを防ぐ1つの手段として有効なツールといえますね。
その他にも、研修以外にも採用に特化したボードゲームや、企業の歴史や価値観を知ってもらうためのボードゲームを開発するパターンもあります。
パターン②:特典型オリジナルボードゲーム
企業プロモーションの一環や有名人とのコラボプロモーションなどでオリジナルボードゲームが制作されるパターンです。
僕が開発したキングダムのボードゲームも期間限定のリポビタンDを購入して応募した方100名に抽選で当たるというものでした。世界初のキングダムのボードゲームでしたので、Amazonやメルカリでは数万円で取引されているほどのレアなボードゲームでもあったりします。
このように利益を得る目的ではなく、コンテンツのターゲット層に企業がPRをしたいという目的で制作するため、普通のボードゲームとは違ったかたちで制作されることが多く、抽選で当たらないと手に入れることができなかったり、一部の会場でしか販売されていなかったりと、レアなゲームになることが多いですが、その分、話題になりやすいゲームともいえます。
企業のプロモーションはテレビのCMやネット上のWebコンテンツなどで期間(もしくは時間)限定で展示されるプロモーションとは違い、ボードゲームは基本的に所持者が捨てることはあまりないため、その人の手元に半永久的に残り続けるものともいえるため、末永く続けられるプロモーションであるとみることもできます。
最近では、CSR(企業の社会的責任)などでボードゲームを採用する企業も増えてきており、僕にもそのようなボードゲームの開発依頼が舞い込んできています。末永く残るということは、ずっと遊んでもらえるようなボードゲームをつくる必要があるので、その分、僕も企業の理念やコンテンツの概念をしっかり汲み取り、実際にボードゲームを遊ぶ人も末永く楽しんでもらえるようなオリジナルボードゲーム制作を心がけています。
ただし、プロモーションといっても、ボードゲームはテレビのCMやWebコンテンツのバズを考えると拡散力はどうしても弱くなりがちです。そのため、これから新しい商品をPRしようと考えている場合は、あまりボードゲームは向かないといえます。逆に既に認知度がある(僕の開発したものでいえば、7つの習慣やキングダムは既に知られているコンテンツといえます)ものであれば、ずっと残り続けるため、ある程度の需要があるコンテンツとのボードゲームは相性が良いといえますね。
パターン③:やってみた型オリジナルボードゲーム
企業の社員や有名人が自分たちで実際にボードゲームをつくってみようというパターンです。
パターン②の特典型と近いところもありますが、ボードゲームという製品よりも、制作している途中経過や制作者にもフォーカスもふまえたプロモーションをするところが②と大きく違うところです。
こちらも在庫がなくなったら再販なしというかたちが多いため、後から手に入れるのが難しい場合があります。人気があるゲームは再販プロジェクトが行われたりすることもあります。
パターン別:オリジナルボードゲーム紹介
いくつかの事例を紹介したところで、どんなオリジナルボードゲームがあるかをパターン別にそれぞれ3つずつほど簡単にご紹介していきます。
世の中のほとんどのコンテンツはボードゲームにすることができますので、もし、オリジナルボードゲーム制作に興味のある人は参考にしてみるも良いでしょう。
研修型オリジナルボードゲーム①:マーケティングタウン
マーケティングを学習・体験できるという強みでここ半年の間に100以上の研修を学校や企業に導入している勢いがあるボードゲームです。
制作者の2人は、NewsPicksの「メイクマネーUNDER30」に30歳以下の起業家として出演し、ホリエモンをはじめ、ボードゲーム研修のビジネスに好評価をもらっていたことで話題になりました。
具体的には、小売店の経営者となって「資金調達」や「市場調査」、「広告」に「仕入」などビジネスに必要なアクションを選び、競合や財務状況に気をつけながら、多くの利益を目指すゲームになっています。
マーケティングはもちろん、財務や経営の戦略などを疑似体験によって体感として学習できるボードゲームですね。
研修型オリジナルボードゲーム②:戦略MG(マネジメントゲーム)
研修や学びのボードゲームといえば、この戦略MGを知っている人も多いのではないでしょうか。
タイトルどおり、マネジメントを主軸とした経営のシミュレーションゲームとなっており、企業の経営戦略や、財務や会計学を学ぶことができる研修ツールのボードゲームです。
元はソニーがエンジニアにマネジメントを教えるために開発されたもので、35年以上の歴史の中で500万人以上が受講しており、あのソフトバンクの孫さんもこのイベントに参加し、ソフトバンクを立ち上げたという逸話も残っています(その証拠に、ソフトバンクの研修の中にオリジナルカスタマイズされた戦略MGのボードゲーム研修が導入されています)。
研修型オリジナルボードゲーム③:2030SDGs
「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であるSDGsを体験できるゲームで、2015年9月にSDGsが国連サミットで採択されたこともあり、話題になりました。
SDGsをよく知らない人でも楽しめる設計になっており、幅広い人数で体感できるところが魅力で、多様な価値観や違う考え、目標を持つ人たちがいる世界で、どうやってSDGsのビジョンを実現していくかを疑似体験できます。
体験会も定期的に開催しているようなので、興味のある方は参加してみるのもいいかもしれませんね。
特典型オリジナルボードゲーム①:対決列島ボードゲーム(水曜どうでしょうコラボゲーム)
ローソンで開催された一番くじのA賞景品になった、根強い人気を誇る北海道のローカル番組「水曜どうでしょう」をテーマにしたボードゲームです。
出た当時、かなりの反響があり、一時期は1万円を超える単価で取引されていたほどで、その人気もあってか、シリーズも多数登場しています。
すごろくをベースにしながらも番組特有の対決をゲームのところどころに導入しており、それなりに戦略も求められるゲームでもあります。
特典型オリジナルボードゲーム②:B’z人生ゲーム
B’zの30周年を記念してつくられたライブ限定発売のプレミア人生ゲームです。
プレイヤーはスタッフとしてバンドを盛り上げ、成長していく内容で、歴代のB’zの楽曲が満載、あまりメインに紹介されていませんが、一応B’zのメンバーも製作に参加(おそらくマスの内容について)しており、イラストもこのゲームのために公式のアートディレクターが全て描き下ろしという豪華仕様になっています。
その人気は、ライブ会場でも売り切れてしまったようで、このゲームも数万円という価格で取引され、少数生産だったことにタカラトミーにクレームが入ってニュースにもなってしまったほど。
ファンにとっては「ボードゲーム」というわけではなく、「コレクションアイテム」という見方が強いかもしれないが、末永く楽しんでもらえることは間違いないでしょう。
特典型オリジナルボードゲーム③:無礼講ースター(株式会社ヤッホーブルーイング)
よなよなエールで有名な株式会社ヤッホーブルーイングが企画したコミュニケーションゲームです。
無礼講とコースターをかけ合わせたタイトル通り、コースターをカードに見立てて質問に答えながら、参加者同士のコミュニケーションツールとしても使えるゲームになっています。
最初は「世界ビールデー」に合わせて30個限定で発売したのですが、なんと1分で完売してしまい、その後、多くの再販要望から再生産されることになりました。しかし、それも今は完売となってしまい、現在、気軽に購入できるゲームにはなっていないのが残念なところです。
やってみた型オリジナルボードゲーム①:Fafrotskies(SEKAINOOWARIコラボゲーム)
人気アーティスト「SEKAINOOWARI」のメンバーで、ボードゲームが好きというDJ LOVE氏がプロデュースした協力カードゲームです。通販で購入することはできますが、ファンクラブ会員でないと買うことはできません。
SEKAINOOWARIは、DJ LOVE氏が持ってくるボードゲームで遊ぶと公言しており、『情熱大陸』や『嵐にしやがれ』などのテレビ番組で、『ワードバスケット』を遊ぶシーンが放映されたことでも話題になりました。
プレイヤーは、ツアーのセットリスト曲を全て演奏しきることを目指すもので、キャラクターによって効果が違うカードを駆使しながら協力してゲームクリアを目指すというもので本格的なゲームになっています。
やってみた型オリジナルボードゲーム②:プロジェクトテーマパーク(株式会社ヌーラボ)
プロジェクト管理ツールとして有名なBacklogを制作する株式会社ヌーラボの社員の方を筆頭に制作された「プロジェクト管理」をテーマにしたボードゲームです。
「プロジェクト管理」と聞くと、研修型かと思いますが、ゲーム自体はテーマパークを決められた納期までに完成させるというエンターテイメントよりの協力ゲームで、最初のスタートは放送会社からの「ボードゲームを作ろう!」という企画から始まったとのこと。
現在では販売されておらず、プロジェクトが立ち上がったときから言われている「やってみた企画」のゲームではあるため、再生産することはあまりないと思われるので入手は難しそうですが、ボードゲームカフェが監修に入っているので、そこに行けば遊ぶことも可能なので興味のある人は行ってみるのもありかもしれませんね。
やってみた型オリジナルボードゲーム③:XENO(オリエンタルラジオ中田敦彦コラボゲーム)
オリエンタルラジオの中田敦彦氏がによる人気カードゲーム「ラブレター」をアレンジした作品です。
最近はビジネスよりの中田敦彦氏ですが、まさかのカードゲームに参戦したことにも驚きですが、その理由は「なぜ制作したか?」という動画もユーチューバーに公開されています。
そちらでもお話していますが、商売目的というよりも「カードゲームが流行っているところが見てみたい」というために価格を700円というかなりのお買い得価格で展開しているところも面白いですね。
こちらも、文字通り「やってみた企画」ですが、最近出たばかりの作品にもかかわらず、カードゲームベストセラー1位を獲得していることもあり、今後もどうなるのか楽しみなゲームです。
オリジナルボードゲーム制作をしたい企業・法人の方へ
以上、オリジナルボードゲーム制作の徹底解説でした。
ボードゲームは、テレビゲームやスマホゲームに比べれば、簡単に制作することもできるので、何か独自のコンテンツを研修化したり、プロモーションしたりする新しいチャネルの手段の1つとするのも最近は多くなってきています。
僕の場合は、オリジナルでカスタマイズを行うボードゲームをメインに制作依頼を受けておりますので、企業や法人向けのコンテンツのゲーム化やプロモーション製品を行うことが多いですので、興味のある方はお問い合わせからどうぞ。
今回の記事はそこそこのボリュームになってしまったので、ボードゲーム制作の具体的な部分については、また別の機会に書いてみようと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
by ボードゲームソムリエ Naoki